合川小春

夏生まれです! うさぎと豆腐と本が好きです!

熱帯夜に読みたい、砂漠の乙女エレンディラの悲惨の物語。

こんばんは!

合川です。

 

お盆も過ぎたというのに、とても暑い日々が続きますね。

私は夜暑すぎて寝不足です。

 

さて、寝不足の合川が紹介する本はこちらです!

 

エレンディラ』G.ガルシア=マルケス / 鼓直木村榮一(訳)/ ちくま文庫

表紙のイラスト、パイナップルだと思ったらサボテンでした。

 

コロンビアの作家、ガルシア=マルケスの短編集です。

6つの短編と中編『無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語』が収録されています。

 

南米の作家が書いた本は今まで読むことが無かったので、とても新鮮な気持ちで読むことができました。

特に中編『無垢なエレンディラと~』には物凄い衝撃を受けました。

 

 

以下、中編の簡単なあらすじです。

 

舞台は南米の砂漠。齢十四の乙女エレンディラは祖母と共に暮らしていた。

祖母はエレンディラを召使同然に扱い、あれやこれやと雑用を押し付ける。

エレンディラはそれに反抗することもなく、従順に従っていた。

 

ある日、エレンディラの不注意により、2人が暮らす豪奢な屋敷は全焼してしまう。

祖母は激怒し、エレンディラに損失の償いを強いる。

なんと旅の道中、孫娘に身体を売らせ、損失を埋め合わせようとするのである!

 

1日に何十人もの男の相手をさせられるエレンディラ

彼女の地獄は無限に続くかに思われた。

彼女の前に天使のように美しい青年ウリセスが現れ、駆け落ちを唆すまでは……。

 

 

自分で書いていて悲しい気持ちになってきました。

 

ですがこの作品、悲しいだけでは終わらないのが凄いところ。

話は二転三転し、予想外の結末を迎えます。

読み終わった後は、初めに抱いていた「エレンディラ可哀想に」という気持ちから一転して、「女の強かさ怖ぇ~……」と思うでしょう。慄け!

 

「かつて美しかった」祖母が、「若く、美しい」孫娘に、これでもかというほど辛い仕打ちをするのも、女性の醜い部分が出ているようで恐ろしいです。

 

 

ここまで偉そうに内容について語りましたが、私が読んだとき真っ先にこんなことを考えてしまいました。

 

……なんか、セクシーだな……

 

……と。

 

違うんです!私の脳内は真っピンクじゃないんです!!信じてください!!

 

直接的な描写はないのに、どこかいやらしい、大人の雰囲気が漂っています。

砂漠の暑さとヒトの体温がつくる湿度、粘度が立ち上ってくるような文章です。

 

砂埃と汗の匂い。エレンディラが横たわるシーツの湿り気。テントの中の籠った熱。

オレンジの爽やかな匂い。髪の毛の縺れ。踏みつける砂の熱さ。青い海と空。

 

……どうですか? 見てはいけないものを覗き見ているような錯覚に陥りませんか?

ガルシア=マルケスが描く世界観は、異国情緒あふれる、という言葉で言い表せないほど奇想天外、予想外の世界です。

寝苦しい、砂漠のような熱帯夜に読みたい一冊です。

刺激的な夢が見られるかもしれません。

 

それでは失礼します! おやすみなさい!